森の中を歩いていると、ふと甘い香りに立ち止まることがあります。花の蜜、葉の青さ、湿った土のぬくもり。
それらをそっとすくい上げたようなお菓子があると知ったのは、数年前のことでした。
それは「七十二(しちとに)」という菓子店
オンラインで出会ったその味は、記憶にやさしく残り、いつかそのお菓子が生まれる場所を訪ねてみたいと思っていました。
そして2025年4月、山梨県富士吉田市に実店舗がオープン。森の入り口のような小高い丘で、念願の訪問が叶いました。
店内に足を踏み入れると、静かに並ぶたくさんの瓶が出迎えてくれます。
中には、森で出会った葉や花、木の実や樹皮。
ひとつずつ香りを確かめながら、森そのものに触れているような感覚が広がります。
それらは「WILD SWEETS」と名付けられたお菓子へと姿を変え、針葉樹の爽やかな香り、蜜のやさしい甘さ、草木が持つ、自然本来の力強さを、そっと口に届けてくれます。
お菓子に使われている素材は、自然とともに生きる人々の手から届いたもの。
山の牧場で育つ牛のミルク、
農薬を使わず植物が共生する畑の野菜や果実。
食べることが、森や土地を豊かにする営みにつながっていく──
そんな思いが、そっと菓子の奥に息づいていました。
店主の日比野由依子さん。
お話しする声も、佇まいも、七十二という世界をそのまま映し出しているようで、こちらまで自然と呼吸が深くなるような、不思議な安心感がありました。
東京から山梨県富士吉田市へ、家族とともに移住し、このたび、店舗併用住宅の建築を弊社にご依頼いただいたご縁もあり、オープンの日をこうして迎えられたことが、心からうれしく感じられました。
ささやかなお祝いとして、クロモジのリースをお届け。製作は、季節の草花で丁寧な作品を届けてくださる「和草風花」さん。
七十二の空気に、やさしく馴染んでくれていたら──と願いを込めて。
この日、お菓子をいくつかお土産に持ち帰りました。
包みを開けるたびに、森の記憶がふわりとよみがえります。
それぞれの味については、次回のブログでご紹介できたらと思います。
森の恵みを味わうお菓子店「七十二」を訪れてみてはいかがでしょうか。
本社広報室 小櫛
「 七十二(sicitoni) 」
〒403-0012 山梨県富士吉田市旭5丁目13−13
*営業日は、Instagramでご確認下さい