「馬鹿」っていうと「馬鹿」っていう。
「もう遊ばない」っていうと「遊ばない」っていう。
そうして、あとでさみしくなって、「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも
『金子みすゞ全集』(JULA出版局)
震災後、幾度となく流れ耳にした、ACジャパンのCM。
明治生まれの童謡詩人、金子みすゞの詩を歌手のUAが朗読した「こだまでしょうか」
言葉のリズムが印象に残る詩だけに、よくできた風刺パロディも多くつくられている。
26歳の若さでこの世を去ったという金子みすゞが詩に託した思いが、
毎月購読している「致知」7月号に「人を導く言葉の力」として、紹介されていた。
いくつか紹介されている詩は、80年も前につくられたとは思えない程、美しく読みやすい詩句ばかりだ。
そして、何度も読み返しているうちに、いくつかの解釈が現れた後、心にストンと落ちてくるものがある。
その中で好きになった詩...どこかで耳にした気もする...

「私と小鳥と鈴と」
私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。
『金子みすゞ全集』(JULA出版局)
読み手ごと、解釈が異なりそうな最後の一節...
私は、それぞれの役割の大切さを教えてくれているように感じた。
「人を導く言葉の力」... 幻の童謡詩人は、本当は何を言いたかったのだろうか。
後藤